高くついた紅茶16

今回ポンディチェリーに行った唯一の目的は、介護施設で重病のリリー姉さんに会うことだった。滞在中、家では何も口にしなかった。それでいとこたちはすごく悲しんで機嫌を悪くした。私のために食事を作ったのに、食べてもらえないのだから。「とても感傷的な気分なんだ。姉さんがここにいない。だから家では食べる気になれない。姉さんがここにいないなんて、耐えられないんだ。」と私は言った。

日に1回か2回、あるレストランに行き、イドゥリー、マサラドーサ、サンバールを食べ、紅茶を飲んだ。ある日、人力車でこのレストランに食べに行った。レストランのすぐ前で降ろされた。10mもなかったろう。待っていてくれるよう俥夫に言った。同じ場所に人力車を停めている俥夫がたくさんいた。

それから中に入り、ローズミルクとマサラドーサと紅茶を注文した。出てくるのは早かった。3分か4分で料理が来て、その10分後には食べ終わっていた。おいしくて幸せだった。

人力車に戻ると、俥夫が不運な出来事があったと話してくれた。食事をしにその場をはなれ、戻ってみると誰かに座席のクッションを盗られていた。周りの人は、その俥夫が駐車違反の場所に人力車を停めたので、警察が来てクッションを取り上げたのだと言った。

人力車の椅子に目をやると、でこぼこの固い表面になっていた。「クッションがないんじゃ、もう座れない。今まで乗った分は払うから、他の人力車を見つけるよ。」

「いや、だめだ。一緒に警察に行って、お客さんを待っていたんだって証言してくれないと、クッションを返してもらえない。」

どうしたものか。一緒に警察に行ってくれないと、座席のクッションが返してもらえないと懇願している。

警察署は帰り道とは違う方向だった。どこにあるのか、神のみぞ知る、だ! 俥夫は引っ張って進み続けたのだが、固い座席なので悪い背中に響いて拷問だった。腰をかけないようにしてみたりもした。痛くて4、5センチくらい木の座席から腰を浮かしていたのだ。それに加えて、3箇所から釘も出ていた! 普通はクッションがみんな覆ってくれているのだ。こうやって、旅路を「楽しんで」いた。

警察がクッションを持っていってしまったのだから、警察が言う金額をいくらでもいいから俥夫に渡そうと決めた。警察署に着き、クッションを返してくれるよう頼んだ。警察は俥夫をどなりつけ、侮辱した。「ここまでおまえのクッションを持ってくるほどこっちは暇じゃないんだよ!」それで私が警察署長と話をした。すると、「いえ、こちらではそういうことはしませんよ。」と言われた。

周りの人が警察が持っていったと言っていたが、そうじゃなかったのだ。それで、俥夫に懇願した。「お願いだから、家に連れて帰ってくれ。」

それからまた15分、人力車に揺られた。木と釘ばかりで、ちゃんと座れなかった。クッションを取り戻すことはできなかった。ようやく家に着くと、俥夫に30ルピーではなく50ルピー渡した。「いつクッションを取り戻せるのか、神のみぞ知る、だ。」と独りごちた。


TCE 23. 1995年9月