短編 カブール33

カブールという少年がいました。12歳でした。フットボール(ここアメリカではサッカーと言うが、インドではフットボールと言う)がとてもうまい男の子で、チームのキャプテンでした。

ある日、試合が終わってから食堂へ行き、紅茶を1杯飲もうと思いました。ウェイターはカップと、ミルクを少しと、砂糖を1さじ分くれたので、砂糖をもう1さじ頼み、もらいました。そのあと「砂糖をもう1さじ分だけもらえますか。」と聞きました。

「がめつい子だな!」

「がめつい」という言葉を聞いて、カブールはただショックでした。がめついだなんて、どうして? 「がめついなんて、呼ばないで下さい!」

「砂糖を1さじどころか3さじも欲しがっているだろう。他に呼びようがないよ。本当にがめつい子だ!」

カブールは本当に悲しく、ショックでした。でもとにかく紅茶を飲み、それからミルクを1杯頼みました。ウェイターが持ってくると、「紅茶をもう1杯お願いします。砂糖は3さじで。必要ならお代は払います。」と言いました。

「わかったよ、払ってくれるのなら1さじでなく3さじ持ってこよう。普通は1さじ分しか出さないんだが、払うって言うのなら何さじ分でも出しましょう。」

男が紅茶を持ってくるまでには、ミルクを半分飲み終えていました。「じゃあ、紅茶用のミルクを下さい。」

「バカじゃないか? こんなにたくさんミルクがあるだろう。そこから少し注げばいいだけじゃないか?」

「どうして? なぜ紅茶についてくることになっているミルクの分を、僕が払わないといけないんですか。持ってきて下さい。」

「バカじゃないか!」

「僕がバカならあなたは詐欺です。ミルクを下さい。」

ウェイターは少しのミルクを持ってくると「おまえは詐欺で、がめつくて、バカだ。」と言いました。

「今誓いを立てます。この人生ではもう決して、2度と紅茶を飲まない。今日あなたは僕のことをがめついと言い、今バカとも呼んだ。だから、この人生でもう紅茶は飲まない。誓って。」

「不愉快な子だ! それがどうしたっていうんだ? おまえが紅茶を飲もうが飲むまいが、誰も気にしないよ! どうでもいいさ! 不愉快な子だ!」

カブールは憤慨し「ああそうさ、僕はがめつい! バカだ! 不愉快だ!」と言うと代金を払い、とても悲しく落ち込んだ気持ちで食堂を出ました。「僕は裕福な家の生まれなのに、あの人に1日で3度もばかにされた! 家で食事をするときは、両親、特にお母さんにはいっぱい食べるようにといつも言われる。食べれば食べるほど、お小遣いをたくさんもらえるんだ。それなのにここでは、飲めば飲むほどお金を取られる。家では両親が愛も優しさも全部くれる。それだけでなく、食べれば食べるほどお小遣いがもらえるんだ。食べると両親が愛と優しさを全部くれる。それなのにここの人は、本当に無関心でぞんざいだ。僕のことなんてどうでもいいのだ。そして僕の方がお金を払わなくちゃいけない。」

カブールは家に着くと「お母さん、今日どこにでもいる普通のおじさんにすごい無礼なことを言われたんだ! ウェイターだったんだけど、僕を侮辱して、がめつい子だって言ったんだよ。それからバカとも呼ばれた。それから不愉快だって。」と母親に言いました。

お母さんは話を一部始終聞くと、言いました。「いい、カブール、紅茶は体に悪いって何度も言ったでしょう? だから家ではみんな紅茶を飲まないのよ。家では紅茶を絶対に飲ませないでしょう。外でも紅茶を飲んじゃいけない、って何度も言ったでしょう。言うことを聞かないから。ね、お母さんの言うことを聞かないとこうやって無礼なことをされるのよ!」

「お母さん、これからはいつもお母さんの言うことをきくね。これからは、紅茶は飲まないよ。それに、やらないように言われたことはしません。いつも言うことを聞きます。お母さんにするように言われたことは何でもします。しないように言われたことはしません。お母さんにいつでも喜んでもらえるようにします。素直な子になります。言うことを聞いたら誰からもばかにされないんだよね。」

「カブール、そうよ、お母さんの言うことを聞いていれば、誰もあなたに無礼をしようなんて思わないわよ。」


TCE 40. 1974年