市長に降ってきた恵み

 入場行進の後、サンファン市長がスピーチをすることになっていた。皆競技場に立っていたが、市長の話が始まるまで少し時間がかかっていた。そこへなんということか、天から本物の恵みが降りてきた。凄い土砂降りの雨だ。私にはとてもそこにとどまる勇気はなかったのでスタジアムの中へ走りこんだが、他の人たちは立派だった。雨の中競技場に立ったまま、市長が数分スピーチするのを聞いていた。

 ウッタマが市長に私のことを何と話したのかは、見当もつかないが、後から市長が私のところへやってきた。少なくとも200メートルは歩いてこられたと思う。
「わざわざパンアメリカン・マスターズ大会まで足を運んで下さり感謝の限りです。」と言われた。私も市長に感謝し、選手たちについて色々と褒めると、市長は非常に喜んでいた。

 市長が来られた後で、主催者の会長が自己紹介してきた。背の高い若者だった。互いに感謝の言葉を交わした。とても良い方だった。

 その後67歳という男性が私のところへ来た。去年、十種競技の自分の年齢カテゴリーでチャンピオンになった人で、自分の話をし始めた。子供が7人、孫は18人いて、自分が優勝するのは全て神の御恵みだと言っていた。翌日の新聞にこの人のタイムが載っていて、アシュラム時代の私のタイムと投距離の方が全然よかったが、自慢はできない。なぜなら当時私は26か27歳、一方彼は67歳なのだから。