第三部 ドイツへの挨拶

フルマラソンのチャンピオン

 ドイツに滞在中、以前の女子マラソン世界記録保持者、クリスタ・ヴァーレンヅィークにお会いした。私からトロフィーを受け取れるよう、プロジュワルが招待したのだ。彼女は想像できないくらい、実に霊的に発達した女性だ。英語はできないが、話をするたびにこれ以上ないほど優しい微笑みを浮かべていた。4、50マイル離れたところからバスでやってきてくれたのだ。弟子たちが彼女のために歌い、贈り物も贈呈し、写真もたくさん撮った。全てを楽しんでもらえたようだ。

 クリスタは非常に強いランナーだ。背がとても低く歩幅もまた短い。1978年にニューヨークへ来たのだが、フルマラソンを完走する事ができなかった。彼女曰く、ニューヨークの熱さに耐えられず、苦戦を強いられた。そして世界記録を破られてしまった。グレテ・ワイツが7分速く記録を塗り替えた。それから1年間、病気で走ることができなかったが、今度イギリスでフルマラソンを走るという。実に実に良い人で、皆好感を持った。