Part XI

CSC 96. 1989年8月12日シュリ・チンモイはアスピレーション・グラウンドで、「オムニ・マガジン」のマーク・タイヒ氏にインタビューを受けました。

質問: とても簡単に人を持ち上げられている様に見えますが。

シュリ・チンモイ: 明日のリフティングで1300人を持ち上げることになります。これで私のリフティングは最終日を迎えます。

質問: どうして最終日にされたいのですか。

シュリ・チンモイ: どこかで区切りをつけないといけません! これまで6大陸を訪ね、1300人の方を持ち上げたことになります。もう充分です。

質問: でも筋肉隆々にはなられてないですね。体格も巨大ではないし。どんな原則に則って行なっているのですか。巨体ではないのに、どうしてここまで強くなれたのですか。

シュリ・チンモイ: 祈りと瞑想です。祈り瞑想し、神の恩寵と神の慈悲に完全に頼っています。

質問: 以前は走られていたけれど、その後怪我をなさったと聞いていますが?

シュリ・チンモイ: 自分の力を超えたところまで走ってしまい、右膝を痛めました。フルマラソンを22回、ウルトラマラソンも数回完走したのですが、そんなにすべきではありませんでした。自分には向いていませんでした。インドでは短距離走をしていました。

質問: 体格からいうと短距離向きですよね。

シュリ・チンモイ: 精神的コミュニティーで育ちました。そこでランニング、ジャンプ、投げ競技など練習しました。

質問: 貴方のされている祈りと瞑想は、トレーニングの種類によって、より助けになったりそうでなかったりしますか。

シュリ・チンモイ: 祈りと瞑想が、必要なことや必要不可欠なことに導いてくれます。祈りと瞑想が前もって何が必要か決めてくれます。一例を挙げましょう。ここアメリカで、特殊なウェイトリフティングの機械がいくつか必要でした。神は御自身の夢を、私の中で私を通して成就しようというビジョンがありました。そしてオーストラリアの教え子を道具として選ばれ、彼が私のエクササイズマシーンを作る役になりました。これは素晴らしい祝福で、神の限りない恩寵だと心から感じています。この教え子は、この4年間私のウェイトリフティングの世界で、想像を遥か超える非常な助けとなってくれました。

質問: でも神は貴方に努力してそれを達成して欲しかったのですね。

シュリ・チンモイ: そうです。肉体的にも精神的にもです。物質と精神は共になければいけません。精神は内、物質は外です。地面の下に種を撒きます。それで初めて芽を出し小さな苗木となり、やがて大木、菩提樹になりますが、種は地面の下に撒かれたのです。同じように私たちも、内的人生が一番大切です。内的人生が前面に出てくると、外的人生を受け入れ、同化し、変革し、私たちを完璧にしてくれます。

質問: リフティングをされる直前に、集中されていましたね。スポーツでは昨今イメージ・トレーニングというのが流行っていますが、そのようなことをされていたのですか。それともただ祈っていたのですか。

シュリ・チンモイ: その時はただマインドを静寂にしていました。何か行う前には必ず、まずマインドを静かにするところから始めます。マインドを静かにすると、ものすごいエネルギーが私の中全体へ流れてきます。宇宙のエネルギーを引っ張ってきます。マインドを静かにするとすぐに宇宙のエネルギーが私全体に入ってきます。

質問: 何か考えておられたのですか。

シュリ・チンモイ: その反対です。マインドは完全に空白でした。一度マインドを静かに静寂にすると、空のように、海のように広大になります。考えると自分に限界をつくります。瞬く間に思考がマインドの中に入ってきます。綱引き、もしくは動物園のようなものです。しかしマインドを静寂にすると、鳥のごとく空を飛んでいると感じます。空は飛んでいる鳥に影響される事はありません。そして鳥は飛んでいるのが楽しく、空から直接エネルギーとインスピレーションを受け取っています。

質問: スポーツでホワイトゾーンと言われているものと良く似ていますね。アスリートが純粋に直感的なレベルに入り、そこでは考えがないのです。最初に何かを学んでいるときは、何をしているか自分で分析していますが、ある時点になるとそれが止みます。

シュリ・チンモイ: あるレベルに達すると、自動的にできるようになります。歌手の人は何年もレッスンを受けますが、心に響くような声を出せるようになると、基礎的な練習をする必要はなくなります。実際に歌っている間、心配する必要がなくなります。踊り手の人は練習してステップを習っていきますが、実際に演技をする時になると、体が自然に動きます。内側から何かが自らを表すのです。

質問: 皮肉なことに、その直感はトレーニングをして得られたもの、ですね。

シュリ・チンモイ: 考える時間はありません。ただ行うのです。自然に沸き起こる喜びがあります。練習すると自信になります。練習しなければ何が自分にできるのか、どれだけのものを前面に持ってくることができるのか、全然判りません。