画面に釘付け

 私がザトペックに捧げて作った歌を、ニューヨークでシンガー(歌い手の弟子)たちが歌っている様子を録画した映像を見せたところ、ザトペックも奥さんも文字通り、椅子から体を乗り出して見ていた。その時の写真を見れば本当だとわかる。わき見などしていなかった。真面目な歌の最中はそれもわかる。しかし冗談を言う場面になっても二人とも同じように座っていた。その映像で弟子たちは歌の説明をするため、ジョークを言ったり短いスキットを演じたりもした。全てを含んだ映像だった。しかしそんな時でさえザトペックと奥さんは笑わなかった。普段は二人共そんな深刻なタイプではない。笑ったりジョークを言ったりいろいろなことをする方たちだ。しかし映像を見ている最中は本当に感動していた。画面に釘付けになったかのように、水を打ったような静けさで見ていた。