チャールズと神の会話
「神様、すごい大変なことになってるんだ。助けて。知ってるでしょう、お母さんもお父さんも頭がおかしくなっちゃったの。インド人のグルがいるんだよ。グルってどんな意味か教えてあげるね。グルは「スピリチュアルな先生」って言う意味なんだ。このグルのお家にお父さんとお母さんはよく行くんだ。グルはいい人だよ。でも何が言いたいかっていうと、両親は僕に、このグルからインドの名前をもらってほしいって思ってる。だから『もう僕には名前があるのにどうして?』て聞いたんだ。神様は僕のアメリカの名前が嫌い?」「もちろん好きだよ。」
「じゃあどうして両親は僕にもう一つ名前が必要だっていうの? インドの名前なんておかしいよ。」
「そうだね。でも一つ聞いてもいい? よく熟れたおいしいマンゴーが二つ君のためにあるとしよう。君は両方欲しい? それとも一つもらうだけで満足する?」
「神様、僕は馬鹿じゃないんだから、もちろん両方欲しいよ。」
「君の名前もそれと全く同じだよ。一つだけじゃなくて二つ名前があったら、もっと楽しくなるよ。」
「ああそうだ、神様、言うの忘れてたけど、パパのインドの名前は『ラーマクリシュナ』って言うんだ。それからママのインドの名前は『パーヴァティー』って言うんだよ。この前パパが、パパのその名前は二人の神様の名前が入っているって教えてくれた。『ラーマ』が一人目で、『クリシュナ』がもう一人の神様なんだって。でもそれは違うよってパパに言ったんだ。神様は一人しかいないでしょう。教会の神父様がそう教えてくれたよ。パパも自分が間違ったってわかって黙ってた。ママにも同じことがあったんだよ。この前ママが、ママの名前のパーヴァティーは、女神の名前だって教えてくれた。だからすぐに、それは全然違うって言ったんだ。だって女神は聖母マリア様だけでしょう。いつも教会の神父様はそういう風に言ってるよ。ママも間違ってたってわかってパパと同じように黙ってた。」
「教会の神父様は他にどんなことを教えてくれた?」
「すごく大事なことを教えてくれたよ。神様だけが全てを知ってるんだって。いい神父様でしょう。神父様は全部を知っているわけじゃないんだって。でも神様は何でも知ってるんだって。」
「そうだね。で、私がその何でも知っている神様だ。君の両親の言っている事は間違っていないよ。正しいことを言ったんだよ。この世にいる人の数だけ神や女神がいるんだから。」
「ということは、教会の神父様が全部間違っていたってことだね。」
「いや、完全に間違ってはいないんだ。説明しよう。あの木を見てごらん。葉っぱが何千枚とあるでしょう。数え切れないほどの葉っぱを見て、『ああこれは木だ』、とわかるよね。でも幹を見ているだけでも木だってわかるでしょう。同じように、神はひとつで、同時にたくさんだ。女神も同じだよ。女神は一人であり、と同時にたくさんなんだ。」
「神様、どうもありがとうございます。今神様が教えてくれたことを全部お父さんとお母さんに話すね。神や女神の事なんて絶対全然知らないと思うんだ。神様、消えちゃう前にもう一つ教えてくれる? 僕にはインドの名前が必要なの?」
「そうだね、持ったほうがいいし持たないとだめだ。ご両親のインド人のグルに、君には私からインドの名前を授けたって伝えてくれる? 『ラナジット』っていう名前だよ。『戦場の征服者』という意味だ。この名前のおかげで、人生の内的戦場で勝利を収めることができるだろう。チャールズっていう名前が、人生の外的領域で勝利を収めることができるように。」
「神様、人生の内的戦場で僕が克服しなきゃいけないことって何?」
「内的人生にはたくさんの敵がいる。その中でもすごく危険なのが『恐れ』と『疑い』だ。この二つが克服できたら、本当に君に満足し、誇らしく思うよ。」
「約束します。そうします。神様、ありがとう。」