どうやって紅茶とコーヒー断ちをしたか

これは私がどうやって紅茶とコーヒー断ちをしたかについての話だ。1999年6月、ポンディチェリーにいる兄のマントゥーを訪ねてアメリカに戻るところだった。ボンベイ空港のVIPラウンジのドアを開けるとリリー姉さんが目の前に立っているのがはっきり見えた。みんな知っているように、リリー姉さんはそれよりほんの2週間前、5月16日にこの世を去っている。「中に入ってお座りなさい。」と言われた。

そこで腰をかけた。前に足を伸ばせて随分快適だった。本を読み、コーヒーを飲んで時間が過ぎるのを待っていた。すると姉さんが自分の右側にいるのが見えた。とてもはっきりと見えていた。内的世界で私とおしゃべりしていた。すると突然、アハナ姉さんも現れた。アハナ姉さんはシュリ・オーロビンドが他界する数ヶ月前、1950年の7月にこの世を去っている。シュリ・オーロビンドはその年の12月に体を離れた。

子どもの時に歌を教えてくれたのがアハナ姉さんで、姉さんについてはいつもこの有名な話をする。ある時私は家族にとても腹を立てて夕ご飯を食べるのを拒否していた。ベッドに入って寝たふりをした。するとアハナ姉さんが入ってきて、「歌がすごくうまい子だけが、寝ている時も歌えるのよ。」と言った。私は自分の歌がすごくうまいと証明したくて歌い始めた。それでまんまとつかまってしまった! アハナ姉さんは私が夕ご飯を食べるよう担いで行った。アハナ姉さんが亡くなったのは24歳か25歳の時。そして今まだ魂の世界にいる。

とにかく、この姉さんが青天のへきれきで現れて、リリー姉さんが話している間中、私の頭を本当に愛情をこめてさすり始めた。1つの魂が私に話しかけ、もう1つの魂はマッサージをしてくれている。想像できるかな?幻覚だろうと言われてしまえばそれまでだが。

どうしてアハナ姉さんが頭をさすってくれたかというと、それより数日前に乗っていた飛行機がインドに着陸した時、頭上の荷台からビデオテープが2本、頭に落ちてきた。アハナ姉さんは内的にこの様子を見ていたそうだ。「本当にショックだったわ!」それでビデオテープがあたったところを本当に愛情こめてさすってくれたのだ。おしゃべりしながら、姉さんは子どもの頃起こった出来事をいろいろ話してくれていた。

それからアハナ姉さんは私の目の前に立つと真剣に懇願し始めた。「マダル、お願いだから、もう紅茶もコーヒーも飲まないでちょうだい。2度と飲まないで! これまであなたにお願いをしたことは1度もなかったわよね。私のたった1つのお願いよ。もう決して2度と紅茶もコーヒーも口にしないでちょうだい! 体に悪いものよ。」

私は姉さんを見ると「もう姉さんはこちらの生きる地にはいないのだから、言うことをきくよ。そんなに頼んでるんだ。もう二度と紅茶もコーヒーも口にしないよ。でもね、もし姉さんがまだ地球にいて同じ頼みごとをしたら、反対に今までの倍の量飲むことにしていたと思うよ!」と言った。

姉さんたちの言うことは決してきかなかったものだ! 何を言われようと、決してその願いを聞いてあげることはなかった。それどころか私はそれと真逆のことをしたのだ!

実に鮮明なこの経験をしてから、私は聖人になった! 紅茶とコーヒー断ちをしたのだ。そしてその約束は今でも守り続けている。アハナ姉さんになんて素直に従っていることか! 少しだけ紅茶をどうぞ、と言われたことが何度もあったが、「もう2度と紅茶もコーヒーも口にしないことにしているんです。」と断ってきた。約束は真面目に守らないと。約束は約束だから。まじめに約束して、特にその相手が愛する者だったら、その約束は守らないといけない。

From:Sri Chinmoy,私の紅茶とコーヒー体験談, Agni Press, 2009
https://ja.srichinmoylibrary.com/tce より転用